自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター:Center for Suicide Prevention and Survivor Support

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今、自殺対策に何が必要か

1月下旬に研究者や実務家数名が参加し、新型コロナウイルス感染拡大と自殺についてのウエブによる意見交換を行った。わが国における感染拡大の第1波では自殺死亡は減少(Anzaiほか、2021)、第2波では女性や若者などで増加(Tanakaほか、2021)したとの研究報告が共有された。また救命救急の現場では自殺未遂による救急搬送が増加しているとの報告があった。2020年の緊急事態宣言中に実施されたこころの健康に関する意識調査からは、市民のこころの健康状態が悪化していることが示された。

これらの情報をもとに、今、自殺対策に何が必要か話し合った。わが国における女性の自殺死亡率の高さや、若者の自殺死亡率がなかなか減少しないことはこれまでも指摘されてきた課題であるが、新型コロナウイルス感染拡大の中で、リスクをかかえた人がより孤立しやすくなっているとの意見があった。また、女性や若者の自殺が、メディアによって繰り返し発信されていく状況は、自殺の連鎖を生みやすくするとの意見があった。そして、The Lancet Psychiatryに掲載されたコメント「COVID-19の世界的流行にともなう自殺リスクの軽減のための公衆衛生的対応」は、自殺対策のターゲットと方法を明確にするうえでよいヒントになるとの紹介があり、新型コロナウイルス感染拡大と自殺について学際的な研究集会を開催することの必要性が共有された。

1998年の自殺者急増以降、すでに20年以上が経過した。この間、わが国の自殺対策の裾野は着実に広がり、対策に関わる人や関連する情報も増加した。これはひとつの発展であるが、情報が画一化され、地域の実状に応じて細やかに自殺対策を組み立てていく過程が失われていると感じることも増えた。今後の地域の自殺対策を発展させていくためには、自殺対策の基本を学ぶとともに、多様な意見を取り入れながら、自分たちの地域の対策を考える機会が必要である。

自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター(CSPSS)では、地域における自殺対策についての基礎を参加者と共有するための研修を実施していきます。その第1回目として、自殺対策強化月間に合わせ、現下の課題である新型コロナウイルス感染拡大下の自殺予防・自死遺族支援についても話し合うとともに、自殺対策の基本を見直す研修を企画しました。ぜひご参加ください。
第1回オンライン研修会「今、自殺対策に何が必要か」

一般社団法人 自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター
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